海水温熱療法評価判定の考察

海水温熱療法の研修を初めて受けた時に、施術終盤に座位で肩(僧帽筋上部)に熱入れを行った時にクライアントさんが熱がらなければしっかりと熱が全身にはいった状態だと評価できるという教えを受けます。恐らくこのことは海水温熱士であれば誰でも知っていることですが、何故この様な違いが起きるのかをいままで聞いたことがありませんので、この評価判定について私なりに考察してみたいと思います。
全身に熱が入って肩(僧帽筋上部)が熱くならないメカニズム
施術が上手くいって全身にしっかりと熱が入った状態で肩(僧帽筋上部)を熱がらない(じんわりと温かく心地よく感じる。)場合は、以下の様な生理的なメカニズムが関係している可能性が高いと考えられます。
血流促進による熱の分散
僧帽筋は肩こりという言葉がある様にコリ等によって血流が滞りやすい部位なので、温熱をした時に肩に熱がこもりやすい箇所になります。全身にしっかりと熱が入った状態だと血流促進が起き、この流れにのって熱が全身に素早く分散するので熱が逃げやすくなっていると考えられます。
体温感受性の変化
全身に熱が入ってしっかり温まった状態だと、末梢の感覚神経の温度感受性が鈍くなることがあります。カラダ全体が深部までポカポカと温まっていると、脳が「これは危険な熱ではない」と認識しやすくなって、温熱が「負担」ではなく「快」として受け止められ熱の刺激に対して過敏に反応しなくなっていると考えられます。
自律神経の調整が進んだ証拠
海水温熱療法で上手くいった場合は副交感神経優位になりますが、このことによってカラダの緊張が緩んで感覚過敏が落ち着いている状態へと移行します。カラダがリラックスしていると、神経の興奮も低下しているため熱刺激にも穏やかに反応すると考えられます。
熱いと感じる場合左肩(僧帽筋左上部)だけ熱くなる理由
これまでおよそ8年間施術してきましたが、肩が熱いとおっしゃる方のほとんどが左肩だけを熱がられます。(私の手の反応も左側のみです。)上述したメカニズム以上にこちらの方が真理に近い可能性すらありますのでこちらも仮説を立ててみます。
左肩(僧帽筋左上部)は心臓に近いから
基本的に心臓は胸の中心からやや左側に位置しているので左肩の方が心臓に近く、このことによってストレスや内臓負担とリンクしやすいと云われています。熱が入り切っていない場合だと左右の交換神経のバランスが整っておらず、ストレスや内臓負担などの影響を受けやすい左側の血行が悪くなったり筋肉が硬直する可能性が考えられます。
内臓との反射区
東洋医学的にみても、左肩僧帽筋上部は「心臓」や「胃」などと関連することが多い反射区だとされています。カラダが疲れていたり内臓に負担がかかっていると、その反射として左肩に過敏さや熱さがでる可能性があります。熱入りが上手くいっていないということはカラダの疲れや内臓負担は軽減していない状態なので左肩が反応すると考えられます。
まとめ
海水温熱療法は量子力学的要素が多く今の科学や医学で数値化されているものではありませんのでこれが正解であるということは云えないですが、私の考察としては肩の評価判定は上述したことが複合的に関与して起こるものだと考えています。海水温熱療法雑学的知識の一端として考察してみたものになりますが、なにかの参考にしてみてください。