民間療法が「怪しい」と言われる理由を施術家の立場から考える
有名人が闘病中に民間療法を受けていたと報道があったり、民間療法を受けていて亡くなられたという報道があると「民間療法は怪しい」といわれてしまうことがよくあります。
実際に受けられていた民間療法が怪しいかどうかは別として、その度に民間療法というカテゴライズされた私たちすべてが怪しいと思われてしまうのは少々残念なことですが現代社会ではある意味仕方のないことだと理解しています。なかには施術内容をまったく知らないにも関わらず民間療法というだけで新興宗教だと蔑むような人もいらっしゃって、そんな極端な人になるとエビデンスや医学データのあるもの以外なにも信用出来ないという固執した考えであったり、逆になにかしらの信者になってしまっていることもあるので、その様な偏った人の場合はちょっとどうなのかなと思ったりしますが…
とはいえ、私たち民間療法を取り扱う者の中には新興宗教と勘違いされてもおかしくない運営形態をとっていたり、ビジネス型新興宗教顔負けの儲け方をしている方も見受けることがありますので、私たち民間療法施術者も責任と自覚をもって施術に従事することが肝要です。
民間療法に従事する1人として、民間療法の施術者の視点から民間療法の立ち位置や怪しいと疑われる理由などをまとめてみましたので、興味がある方は一読ください。
そもそも民間療法とは
民間療法を辞書で引くと「民間に流布し、医師にかからないで行う経験的な療法。」とありますので、経験則に基づいた医療の類似行為という様に解釈が可能です。
厚生労働省は民間療法のことを、相補代替療法または補完代替療法と呼び、西洋医学と民間療法を組み合わせることで、生活の質を向上させる統合医療と呼んでいます。J-Stage民間療法の実態と対応pdf
一般的に認知度の高い民間療法は…
- 瞑想
- ヨガ
- 催眠療法
- 音楽療法
- 温泉療法
- アロマテラピー
- カイロプラクティック
- マッサージ
- 鍼灸
- レイキ
などが挙げられます。朝日新聞デジタルにて民間療法の定義についてあいまいであると紹介してありますが、西洋医学と民間療法を組み合わせた統合医療は病気を治す目的ではなく、あくまでも生活の質向上だと記述されており「病気が治る」と謳っている民間療法があった場合は国が定めたものではないアウトローな存在であるとありました。
薬事法など色々な制約がありますが、民間療法はあくまでも病気を治すものではなく生活の質を向上させる代替医療だというのが一般的解釈といえそうですね。
怪しい民間療法の判断材料
クライアントさんによって私では対応しきれない場合の紹介先の確保目的や自身の施術スキルアップの為に色々な民間療法を受けにいきますが、以下の様な場合は私も怪しんで関わらない様にしていますので、民間療法を受けるか悩んだ際の1つの判断材料として以下を参考にしていただければと思います。
※ 怪しい民間療法の判断材料として以下記述していますが、施術を受けたことによって本当によくなるのであれば、財政状況などを考慮した上で高額な民間療法を受けることも選択肢の1つとしてありだと考えています。そんな時は徹底した下調べと感覚を総合してご自身で判断してください。
高額である
民間療法の相場はあってない様なものですので、かなりの高額設定な施術もよくあります。
- クライアントさんが多く予約が取れない程の人気店であること。
- ブランディングが上手く高額でも納得できる見せ方をしていること。
- ヒーラーの場合など施術にかなりのエネルギーを要してしまうこと。
などの理由で高額にしていることが多く、妥当だなと感じることもありますが、それを模造して高額にしているということもよくあることです。私が民間療法を受ける場合は1回の施術で2万円以下を1つの目安にしています。
「必ず治る」と宣伝している
薬機法などで治るなどの言葉は使用しては駄目になっていますが、私のクライアントさんでも癌の腫瘍マーカー数値が正常に戻ることなどは珍しいことではありません。ただ、それはたまたま正常値に戻っただけの可能性もあって、それこそ長年のデータがある訳ではないので必ず治るということはいえません。そもそも、治すのは本人の自然治癒力であり私たちが治す訳ではありませんので、必ず治るという宣伝をしている時点で怪しさ満載です。
過大広告の場合は高額設定とセットのことが多いので、その様な場合は特に注意が必要です。
高額商品を売りつけてくる
症状が緩和すると施術家に依存して信じ切ってしまう傾向にありますし、先生などの敬称のつく方の場合は営業障壁がかなり低くなっているので高額商品を売りつけてくるなんてこともあります。私がこれまで声をかけられたり人づてに聞いたことがあるものでは、施術ツール・肌に塗るクリーム・パワーストーン・お祓いツールなどなど。もちろんどれにも手をだしていませんが、値段は3万円から10万円位のものが多いように感じています。
医師も推薦!などのアピール
医師というキーワードは権威性が高いので市民権を得られていない民間療法にはもっとも欲しいキーワードの1つになります。
民間療法のweb上で医師も推薦!などのキーワードをみかけることもありますが、その場合はその医師本人が本業でどの様な治療をしているか、どの様な信念を持っているかを調べます。その医師が西洋医学のみの治療をしている場合は広告費が発生して宣伝している可能性が高いです。あと同業者から聞いた話ですが、効果があればある程その施術を医師は推薦しない傾向が(プライドなのか患者が減るのを気にしているのか解りませんが。)あるようです。もちろん患者さんのことを考えて紹介する医師もいらっしゃるみたいで、その様な医師は心のある立派な医師だと尊敬しています。
治療家や施術家への依存が怪しいを生む
病気が治ったり回復した場合、必要以上に治療家や施術家に感謝して依存してしまうことがあります。「命を救ってもらった。」「人生を取り戻せた。」などの感想を持たれる方も多い様ですが、治った瞬間の感動だけに留まらず、人によっては必要以上に継続的に依存したり崇拝したりすることがあります。
そんななか、お金や権威に執着する治療家や施術家は患者さんやクライアントさんの依存をよしとしてそのまま依存させ、もてはやさせたりお金を貢がせるといった感じで利用することもあります。「儲」を分解すると「信」と「者」ですが、儲けるのは読んで字のごとく信者をつくるのが1番です。治療家や施術家は患者さんやクライアントさんの人生を救う可能性のある職業なので信者をつくるのにうってつけの職業の1つといえます。患者さんやクライアントさんを信者にすることによって富と名声を得るのはまさに教祖ですので、民間療法が宗教とか怪しいといわれるのはこういった類の治療家や施術家と依存してしまう患者やクライアントさんがいるからといっても過言ではない様に思います。
依存はNGだけど信用や信頼は欲しいところ
民間療法のなかには量子力学にのっとって施術することもよくあります。いわゆるスピリチュアルと呼ばれている領域です。上述した様な信者をつくろうとする治療家や施術家がいるのが民間療法が怪しまれる諸悪の根源ですが、量子力学(粒子やエネルギーなど)を扱っている以上それだけで既に怪しまれることも往々にしてあります。
クライアントさんに向き合って真摯に取り組んでいる治療家や施術家はクライアントさんをよくしたい一心で施術をしていますが、この時クライアントさんから信用や信頼がなければよくすることは高難易度になってしまいます。どんなに技術が高くても能力があってもクライアントさんが「怪しい」「良くならない」と思っている以上どれだけ頑張ってもよくなることは殆どありません。(周波数の共振共鳴やクライアントさんの意識が凄く重要になるからです。)これはネガティブな感情で受けていても同様です。(なんでもそうですが、ネガティブな感情を抱いていたり後ろ向きだと上手くいかないのと一緒です。)
だから信じて欲しいとなると宗教的な感じになってしまうので本意ではありませんが、クライアントさんが良くならないことの方がよっぽど本意ではないので、せっかくお金と時間をつかって施術を受けにきてくださるのであればよくなるという思いをもってきていだきたいところです。もし怪しいという気持ちがあるのであれば、どちらにせよいいことにはならないので、怪しいと思った時点でその施術を受けられないのが1番ですね。
民間療法の施術家としての根源的な土台
ちょうどこの記事を書いている時にクライアントさんから奈良県の石上神宮の特別参拝の話を聞きました。この地で神剣が発掘されて150年。このタイミングではじめて禁足地に近づける特別参拝があって貴重だから行ってみたらということでした。
その話を聞いた次の日に来られたクライアントさんが、ふとした話のなかで石上神宮(イベントではなくたまたま。)に行ってきましたということを唐突に仰られて、あまりにも凄いタイミングだったので赴く必要があると感じた話をその後来店のクライアントさんに世間話的に話していたら、行って欲しい気持ちはまったくなかったのに、結果的にその話をした方全員が石上神宮の特別参拝に赴かれることになりました。正直なところ、自分自身にこんなに影響力があるのかと怖さを感じましたし、それと共に発言には思った以上に責任を持たないといけないと痛感しました。
健康の為にその方に必要だと思った情報(日常的に取りくんで欲しいもの。真菰入浴剤や塩水療法の為の浜比嘉塩など。)をプロの目線でお伝えする様にしていますが、それらはもちろん私自身が試して効果があったからおすすめしているものですが、これは人によってはよくないことになる可能性もゼロではありませんので、これまで以上に自覚と責任を念頭に置きながら気軽さは抜いてきちんとお話していくことが肝要です。
施術家や治療家はクライアントさんの生活の質を向上させることが目的で、それ以上でもそれ以下でもないのが理想のカタチなのでしょう。ここにエゴが入ったり矢印が己に向くとだんだんとおかしいことになっていきます。だからこそ民間療法の施術家は根源的な土台として「クライアントさんの自然治癒力を高めることだけに目を向ける」「クライアントさんのQOL向上にだけ目を向ける」を常に持ち続けないといけない。それさえ出来ればそこまで怪しまれる様なことにならないのではないかと思います。
まとめ
民間療法は残念ながら未だに市民権を得ていません。確かに怪しい施術も存在していますが、有効性の高い施術もたくさんありますし、私自身もなんでこれで良くなるんだろう?と一見怪しくなってしまうような不可思議な効果を何度も体感してきました。
せっかく凄いものがたくさんあるのに、民間療法という属性だけで判断されて埋もれていくのは残念の一言に尽きます。
愚痴をいわせてもらうと、民間療法で病気が治るというのは違法だといわれてますが、西洋医療の薬だって殆どのものが治すものではなくて症状を抑えるものであって決して治している訳ではないです。(なのに病院にいったら治るとか薬を飲んだら治るといった言葉が当たり前の様に横行して西洋医療を受けたら治るという認識がつくりあげられています。)治すものは基本的には人が本来持っている自然治癒力だけであり、医療も施術も治すものではない同類項のものです。自然治癒力をどれだけ引き上げて治せるかが重要なのに、切ったり貼ったり抑制したりするだけで治った感じにしているだけの西洋医療がすべてで、自然治癒力を引き上げる能力に長けている民間療法も存在しているのに、エビデンスがないからとすべて毛嫌いするのはいかがなものでしょうか。(日本は特にこの風潮が強く世界で有数の薬国家だといわれています。)
急性の場合は西洋医療も必要なものかもしれませんし、西洋医療を否定するつもりは毛頭ありませんが、西洋医療と民間療法、それを取り巻く色々な方々がお互いを攻撃せずに尊重し合いながらそれぞれの特性を活かしてバランスよく連携出来ればきっと今よりも健康な人が増えるはずです。1日もはやくそんな世の中になって欲しいものです。