火傷は温めた方が治りがはやいのかを考察!ホメオパシーとの関連性とは?

「火傷は冷やすより温めた方が治りがはやい!」健康に興味がある方なら1度は目にしたことがあるのではないでしょうか。料理などをしていて火傷した時に反射的に耳たぶを触るのはカラダの中で耳たぶが温度が低いとされているからで、やはり 火傷 = 冷やす というのがセオリーの様な気もしますが、火傷を温めるのはホメオパシーとの関連性もあるようなので、その辺りも含めて考察を進めていきたいと思います。
火傷箇所を実際に温めるとどうなるのか?
火傷を温めた方が治りがはやいという話をはじめて聞いた時にまず思ったのが「そもそも火傷を温めていいの?」でした。考えるより即行動が私の真骨頂ですし、海水温熱療法師という職業柄火傷しやすい環境にある私ですので、火傷は温めた方が治りが早いのかと、火傷を温めてもいいのかという疑問払拭の為に実際に火傷直後に火傷箇所を温めてみました。(下図の様に100度に熱せられた鍋の蓋についた水滴が手に飛んでくるので火傷を温める環境は常々あります。)
火傷の程度としては水ぶくれが出来ないギリギリのラインくらいの火傷でしたので Ⅰ 度熱傷と呼ばれる軽い火傷でした。火傷してから10分後に40度くらいに給湯されたお湯で火傷箇所を3分間くらい流してみたのですが、火傷箇所の痛みのレベルとしては、火傷に40度のお湯をかけたらどんな痛みになるか想像してみたのと大体同じ痛みです。我慢できないくらい痛くも無いですし痛くなくもないです。
3分間温めた後に状態をみたり触ったりしたところ火傷症状(赤みや痛み)はかなり改善している様に感じました。(解りにくいですが、人差し指の下の辺りです。)
個人の体験談になりますが、火傷箇所を実際に温めてみた結果、少なくとも悪化することはなく、どちらかというと症状緩和に近い結果となりました。
火傷箇所を温めて症状が緩和するメカニズム
火傷箇所を温めて症状が緩和したと仮定して、どの様なメカニズムで緩和したのかを考察してみます。(医学的根拠はなにもありませんし、あくまでも仮説ですので鵜呑みにすることなく参考程度にご覧ください。)
血流増加による代謝促進と鎮痛系活性化
温めると血行が促進するのは有名な話ですが、これは温めた箇所の血管が拡張して血流量が増えるからです。火傷した時に冷やす行為は炎症促進を阻害するための対処法ですが、温める行為は血流増加により炎症物質を流して除去しようとする考え方になります。
スポーツ医学や温熱療法での回復理論でみると、血管拡張による血流増加は筋緊張の低下により痛みや不快感が軽くなるということにも繋がり、温かい熱の刺激が脳から脊椎に向かって痛みの伝達を抑制する下行性抑制経路やカラダの中で自然に生成される鎮痛物質の内因性オピオイド系を活性化して鎮痛に寄与することも考えられるので、これらが合わさって痛みの感覚が低下することが考えられます。
温熱刺激によって痛み信号を遮る
温度の変化を感知する皮膚の温感受容が刺激されると、脊椎レベルでの痛みの感覚を通しにくくする作用が働く可能性があります。経験がある方もあるかもしれませんが、別の感覚で痛みなどの信号をかき消す作用です。また、火傷部位を温めることによって、皮膚の熱感受容器が一時的に疲弊し、同じ部位からの痛みが抑えられる可能性もあります。
どちらも治癒が促進するというよりは痛みが一時的に緩和するということなので、症状緩和というより痛み緩和だけにスポットがあてられたものになります。
火傷は温めた方がいいのか冷やした方がいいのか?
「火傷は温めが方がいい」という説は、ブログやSNSを中心に拡がりをみせており、軽症の火傷であれば、40度程度のお湯や湯気で痛みが緩和されたなどの検証がありますが、医学的根拠やエビデンス等はなくて有効性を裏付ける科学的証拠はみつかっておらず、むしろ医師や皮膚専門家は温めない方がいいと明言しています。
多くの医療ガイドラインでは「火傷は冷やす」が推奨されていて、約2度~15度で20分の流水冷却が組織の損傷を抑え傷跡の軽減に効果的で最適だとされています。自然療法推進派の私は自身の検証も踏まえて火傷は温めた方が治りもはやく最適だといいたいところですが、流石に現段階の情報では冷やした方がいいと言わざるを得ない状況にあります。
火傷を温めるのとホメオパシーの関連性は?
火傷を温めた方がいいという情報を調べていると、しばしばホメオパシーとの関連性がでてきます。ただ、信頼できる医学的ソースはなく、なぜホメオパシーと火傷を温めた方がいいのかという関連性の情報もでてきませんでした。なぜホメオパシーと火傷を温めることが紐づいているのかを考察すると以下になります。
ホメオパシー同種療法思想が原因
ホメオパシーは似たものが似たものを癒すという根本概念がありますので、火傷は熱が原因だから同じ熱で癒すという理屈になっている可能性があります。海外のホメオパシー系サイトを調べてみると熱で治す火傷ケアという文章が少なからずでてきますので、このあたりから日本でも関連性が噂されているのかもしれません。
逆張り健康法の流行
現在主流の健康法は誤りだから逆の行為が正解という情報が流行しています。日本は医療利権などが横行していますので確かにこういったことは多々あることです。火傷は冷やすのは誰でも知っている常識的なことなので常識を覆す逆張り健康法からいくと火傷を温めると治りがはやいというのが流行っているのかもしれません。SNSで調べたところホメオパシー療法士が火傷を温めると治りがはやいと投稿していたので、ホメオパシーとの関連性はこの辺りから派生している可能性があります。
まとめ
火傷は冷やすより温めた方が治りがはやいかどうかの結論は、感覚的には軽度火傷の場合は温めた方が治りがはやいと感じています。ただ上述した様に冷やすよりも多少痛みを伴ってしまうのでおすすめするまででもないのが現状ですし、流水で冷やすことで火傷の深さや範囲を小さくできるという臨床データが多数あるので、今のところ火傷は冷やして悪化させないというのが無難な対処法だといえます。
世の中や社会の混沌と共に健康界隈も混沌としておりますが、これに乗じて根拠のない健康情報をあげて集客しようとする動きもありますので、情報の取捨選択にはくれぐれも注意が必要です。