腰痛の対処法は「温める場合」と「冷やす場合」がある
皆さんも、多くの人が大なり小なり腰痛に悩まされているのではないでしょうか?
厚生労働省は日本の人口1億2700万人に対し、実に5人に1人の人が腰痛ということも発表してるくらい腰痛に悩まされているのが実情です。
こんなにも多くの人が患っている、この腰痛こそしっかり理解して対処すべき症状と言えるのではないでしょうか?
この記事では、腰痛は「温めるべきか?」「冷やすべきか?」そして、腰痛の根本原因についてお伝えしていきます。
腰痛の種類
まずは、腰痛の種類について説明していきます。
大きく分けると2つあり
- 急性腰痛
- 慢性腰痛
これら2つの違いは「時期」です。
腰痛の場合、痛みが出てからどれぐらい時間が経過したのかが重要なポイントになります。
急性腰痛
急性腰痛は、ギックリ腰や筋違い、捻り、打撲などにより、痛みが出てきた時期のことを指します。
この時期は、割と局所的に一気に負荷がかかるため、炎症反応を起こします。
これにより、血流は一時的に増し、痛めた場所が腫れたり、熱を持ったりします。
慢性腰痛
慢性腰痛は、急性期を経て炎症や腫れが引き、痛めた場所が硬くなって使えない状態になり、どんどん疲労が溜まってくる状態のことを指します。
この状態が「重だるい痛み(鈍痛)」を引き起こしています。
多くの場合がギックリ腰などの急性的な痛みを経て、慢性期に移行し、そこから一向に改善しないという流れで、この状態に多くの人が悩まされていると思います。
慢性腰痛はもう一つ原因が考えられます。
長時間の一定の姿勢による「いつのまにか腰痛」です。
長時間のデスクワーク、長時間の運転、長時間の中腰での作業などが原因の腰痛です。
これらが終わったあと異様に腰が痛くなった経験ありませんか?
しばらくすると、痛みは引くけど次の日起きたらまた痛い…なんてことありませんか?これが厄介な「いつのまにか腰痛」です。
腰痛の最も多い原因は、「その時、しんどいとは思わない姿勢を続けてしまいのちのち痛くなること」なのです。
腰痛は時期で「温めるべきか」「冷やすべきか」が変わる
この2つの腰痛の時期により、「温めるべきか」「冷やすべきか」が変わってきます。
次は、そのポイントについて説明していきます。
腰痛を冷やす理由
まずは、腰痛を冷やす理由から説明していきます。
結論から言うと、
「急性期腰痛」=「冷やす」
が正解です。
急性期は上述したように、炎症反応が出て、血流も一時的に増加し、腫れも出るため、まずはこれを抑えるために冷やすことが先決であるということです。
熱を持っている時に温めると、炎症や痛みを助長してしまう恐れもあり逆効果になります。
ちなみに、受傷直後などはお風呂に入ると痛みが増す場合もあるので入らない方がベターです。
とにかく、炎症や腫れがおさまるまでは「冷やす」と覚えてください。
腰痛を温める理由
続いては、腰痛を温める理由を説明していきます。
結論から言うと、
「慢性期腰痛」=「温める」
が正解です。
慢性期も上述したように、炎症反応は無くなり、腫れは引いた状態です。
痛みの質が、重く鈍くなり、硬く疲労が溜まってきたような感覚になります。
急性的な痛みの間は防衛本能が働くため、できるだけ痛い場所を使わないようにするため、その場所が活動しないように硬くなります。
よって、しばらく使わずに硬くなった筋肉は血液の流れが悪くなります。
こういった部位には「温める」ことで血液の流れを改善し、
- 筋肉が活動しやすい環境
- 栄養が行き届きやすい環境
を作らなければなりません。
「温める」ことはもちろんですが、薄着や寒い場所にいることで「冷やす」ことも避けてください。
冷やす場合と温める場合の判断の仕方
冷やす理由や温める理由はわかったと思います。
ただ、中には、
「炎症がおさまったかわからない…」
「腫れが引いたかどうかわからない…」
ということもしばしばあると思います。
では、見た目では判断できない場合はどうするべきか?
そのような場合の感覚的な判断基準をお伝えします。
冷やす時はこんなとき
冷やす場合は、
- 痛い場所を触ったときに、手のひらより熱いとき
- 痛みがまだ “ズキズキ” や “ピキッ” としているとき
このように感じる場合です。
ただし、寒い季節で手が冷えた状態などは除きます。比較的安定的な室温にいるなかで実行してください。
温める時はこんなとき
温める場合は、
- 痛い場所がより狭く、ピンポイントに感じてきたとき
- 痛い場所をストレッチやマッサージしたくなったとき
このように感じる場合です。
痛みを感じてすぐには、痛すぎて動かしたくない感覚になりますが、慢性化してくると徐々に動かしたくなってきて、「伸ばすと気持ち良い」となってきます。
かなり、抽象的に感じるかもしれませんが自分の感覚は案外あっているということをお伝えしたいと思います。
腰痛の効果的な冷やし方と温め方
冷やす場合と温める場合の判断の仕方がわかったところで、次は効果的な冷やし方と効果的な温め方をお伝えしていきます。
腰痛の冷やし方
腰痛を冷やす場合は、
- 痛い場所を触ったときに、手のひらより熱いとき
- 痛みがまだ “ズキズキ” や “ピキッ” としているとき
なので、痛い部分にシンプルに「冷たいもの」を当てて「冷やす」です。
自宅で可能な方法は以下の2つです。
- 氷袋で冷やす
- アイシングパックで冷やす
氷袋はビニール袋と氷があれば今すぐにでも準備可能です。
氷はできればクラッシュアイス(1cm角ぐらいの氷)がベストです。
細かいと身体にフィットしやすくなるのでおすすめです。
もちろん、家庭で作れるやや大きめの氷でも十分です。
アイシングパックは家にあるものではないので、購入が必要ですが一家に1つ2つあると非常に便利です。
熱が出た時も使えますし、スポーツした後のクーリングケアとしても冷やすこともできるのでおすすめです。
腰痛の温め方
腰痛を温める場合は、
- 痛い場所がより狭くピンポイントに感じてきたとき
- 痛い場所をストレッチやマッサージしたくなったとき
なので、鈍い痛みがある場所に温かいものを当てます。
さらに、カラダ全体を温める方法を取ることもおすすめします。
温める方法も非常にシンプルです。
自宅で可能な方法は以下の2つです。
- 鈍い痛みがある場所をカイロで温める
- お風呂で鈍い痛みがある場所に冷水を30秒ほど当ててから2~3分42~43℃のお湯につかる(2~5セット繰り返す)
カイロはシンプルに患部を温めて血液の流れを促進する方法です。
2つめの入浴方法は冷えたところに血液が集まる特性を生かし、一度患部を冷やすことで、血液の流れをよりアクティブにしていく方法です。
もう一つの効果的な方法は自宅では出来ないのですが海水温熱でピンポイントに深層の筋肉を温めることです。
このいずれかの方法を行ったら終わりではなく、腰痛の大きな原因と言われている2つの筋肉のストレッチをすることが必要です。このひと手間が効果を倍増させます。
「温める」→「ストレッチ」この流れをセットにしてください。
腰痛の大きな原因と言われる「大腰筋」と「腰方形筋」のストレッチ
この2つの筋肉ですが初めて聞いたという方もたくさんいると思います。
なかなかマニアックな筋肉でありながらかなり重要な役割を担っています。
大腰筋のストレッチ方法
この大腰筋は最も重要と言っても過言ではない筋肉です。
カラダの中で唯一骨盤をまたぐ、背骨と太ももをつなげている筋肉です。
この筋肉が使えていないと上半身と下半身が上手く連動しないため、腰に負担がかかります。
他にも、股関節を曲げる動作(もも上げ)、股関節をしっかりと安定させる働きも担います。
こんなにも重要な筋肉なのですが、多くの人がデスクワークなどの長時間座る姿勢によって股関節が曲がりっぱなしになり、硬くなって弾力性を失います。
こんなにも色々な役割があるにも関わらず、働けないという状態になるため腰がその代償を負うことになります。
まずは、この短く縮んだ大腰筋を伸ばす習慣を持つことが大切です。
大腰筋のストレッチ方法をご紹介しますので下記動画を参考に取り組んでみてください。
腰方形筋のストレッチ
腰方形筋は骨盤と肋骨・背骨をつなぐ筋肉で、背骨の安定性を担っており、姿勢保持に大きな影響を与えます。
【前から見た図】
【後ろから見た図】
この筋肉もデスクワークの習慣に陥った多くの人が、腰が丸まった座り方によって、腰方形筋が縮まされます。
縮まされた状態は腰方形筋を硬くし、乾燥した輪ゴムのように弾力性を奪います。
そして、習慣的にかなりの時間を腰が丸まった姿勢を強いられることになるので、普段の生活でさえも座ると、この姿勢になってしまい常に腰方形筋は縮まされていることになります。
この腰方形筋も大腰筋同様にまずはストレッチをする習慣を持つことから始めましょう。
この2つの筋肉はセットでストレッチすることをおすすめします。
腰方形筋のストレッチ方法は下記の動画を参考に取り組んでみてださい。
日頃のケア方法と腰痛にならない方法
これまで腰痛への対処の仕方、冷やす方法、温める方法、有効なストレッチなどお伝えして来ましたが理想を言えば「腰痛にならない」ことが肝要です。
腰痛にならないための日頃のケアとしてはやるべきことは2つです。
- 冷やさないこと、温めること
- ストレッチ
冷えることで血液の流れは悪くなり筋肉も硬くなりやすくなるので、温浴などで寝る前はしっかり温めること、ストレッチをすること、腰痛になってからのケア方法と大きく変わりません。
なので、腰痛にならないために最も重要なことは姿勢と意識です。
「骨盤が丸まらないように骨盤が立った姿勢(骨盤ニュートラル)」を意識して保持することが必要です。
骨盤を立てた立ち方
耳介(じかい:耳の穴)、肩峰(けんぽう:肩の一番でっぱった部分)、大転子(だいてんし:太ももの骨の一番でっぱった部分)、くるぶしが横から見た時に一直線になるように立つと骨盤が最も良い位置になります。
骨盤を立てた座り方
耳介(じかい:耳の穴)、肩峰(けんぽう:肩の一番でっぱった部分)、坐骨(ざこつ:座った時にあたる骨)が横から見た時に一直線になるように立つと骨盤が最も良い位置になります。
骨盤のニュートラルポジションの作り方
この姿勢はインナーユニットと呼ばれる、骨盤と背骨を安定させる4つの筋肉を使える必要があります。
これらを使えるようにする方法は以下の記事や動画を参考にしてみてください。
このインナーユニットを使えるようになれば、あとは座り方、立ち方をマスターするだけです。
方法は学べばわかる!と思うのですが、最も難しいのは意識し続けることです。
意識し続けるのは3週間!!
とにかく3週間だけ寝ていない間は可能な限り、良い姿勢を意識してください。
人間にはボディマッピングという筋肉の記憶装置みたいな能力が備わっています。
それが定着するのに約3週間と言われています。
ここまで頑張れば、良い姿勢が定着してくるので、姿勢が悪くなってきたときに気づくという感じに変わってきます。
自転車が乗れる感覚に近いです。
3週間ぐらいの猛練習で乗れた記憶ありませんか?
いまやサドルをまたげば何も考えずに乗れますよね。
これと一緒です。
強い意志で3週間意識し続ければ、良い姿勢が定着します。
無意識に良い姿勢が取れるように頑張ってみてください。
どんな時に病院に行くか
これに関しては様々な意見があると思います。
まずは、絶対に行かなければいけない場合です。
「何もしていないのに痛い」
「動いていないのに痛い」
このような状態の場合は、迷わず行ってください。
病院に行くか悩ましい、、、
「伸ばしたら気持ち良い」
「動かすと少し楽になる」
このようなときは、コンディショニング(姿勢や筋肉のバランスを整えるなどのエクササイズ)ができるトレーニング施設でカラダを動かすこと、調整することをおすすめします。
まとめ
- ギックリ腰や腰を捻ったなどの急性な痛みは炎症や腫れを抑えるために冷やす。
- 炎症や腫れが引いて、痛みが鈍くなり、疲労感が大きくなってきたら温める。
- 座るときも、立っている時も良い姿勢を意識する。
今回、お伝えしたかったことはまとめるとこの3つです。
皆さんの腰痛が癒えることを願っています。