自宅でできる腸温活の始め方
昨今、腸活や腸内環境、腸内フローラなどの「腸」のつく健康キーワードを多く目にしますが、それだけ腸が弱ってしまっているのが現代ならではの問題だなと、私自身、海水温熱をしながら日々感じています。腸は「第二の脳」とも呼ばれていて、実際に腸の健康状態はとても重要で、体調の要といっても過言ではありません。
そんな腸の健康法として、おすすめなのが「腸温活」になります。
体を温めること=身体に良い
ということは既にご存知かと思いますが、その体の部位ごとの温めにも非常に深い理由がありますので、今回は腸を温めるとどのような良いことがあるのか、また腸を活発にするための方法をいくつか解説をしていきたいと思います。
腸温活とは?
腸温活とは文字通り、腸を温める活動です。とはいえ外部から触れる事は出来ない場所ですし、仮に熱い液体を飲んだとしても食道や胃を通過する過程で温度は下がるので、腸を直接的に温める方法はありません。
- 食事であれば食事法/食材選び
- 運動であれば呼吸を意識する
- 衣類などで腸を冷やさない努力
等、外部からの要因で効果を高めることを行うのが腸温活のポイントとなります。
なぜ腸を温めるのか?
腸が冷える=深部体温の低下に繋がり、体調不良を引き起こす原因となります。
受精卵から人間の身体になっていく過程で、まずどこから作られていくかご存知でしょうか。
実は「腸」なんです。
腸が伸びて口と肛門ができ、その間に各臓器、そして一番上が膨らみ「脳」になっていきます。この体の成り立ちからでも、腸が体の要になっていることが伺えますね。便秘や下痢、お肌のトラブルなど腸を整えましょうという話は多いですが、まさにその通りで、体の要でもある腸を大切にすることが体全体の健康を保つということにもつながってくるのです。
腸内細菌と体温の関係
「なぜ腸を温めると身体に良いのか」を語る上で外せないのが「腸内細菌」です。腸内細菌とは消化管内に存在する微生物のことで、主に大腸に存在し、数千種類に及ぶさまざまな微生物から成り立っています。
腸内細菌は体の健康に大きな影響を及ぼし、その影響は消化器官だけでなく、免疫システム、栄養吸収、代謝、さらには心と脳にまで及びます。
体内の栄養素の消化や吸収、有害物質の排出、免疫機能の調整などに関係しており、健康な腸内環境は、悪玉菌(有害な微生物)と善玉菌(有益な微生物)のバランスが良好な状態を指し、これが健康な状態を維持するのにとても重要になってきます。
健康を維持するためには、これらの善玉菌を中心とした腸内細菌をいかに活性化してあげられるかがポイントになります。
食品(納豆・味噌など)で善玉菌を摂取したり。善玉菌の餌となる食物繊維をとり腸内環境を整えるなども腸内細菌を活性化する方法と言えます。
ここでお勧めしている「腸を温める」ということにおいても、腸内細菌が活性化する温度というものがあり、通常人間では体温が36度〜37度程度に保たれており、腸自体もこの温度の時が腸内細菌が元気になる環境と言えます。
最近では、東京大学医科学研究所が「38度以上の体温がウイルスに対抗する力が上がることを明らかにした」というものがあります。
東京大学医学研究所:発熱がウイルス性肺炎の重症化を抑制するメカニズムを解明 -重症化の抑制には38℃以上の体温で活性化した腸内細菌叢が必要だった->
この発見を簡単にいうと、38度以上の体温の上昇により活性化した腸内細菌叢がウイルスの増殖やウイルス感染による炎症反応を抑えていることがわかったというものでした。
私たちが行っている民間療法である「海水温熱」は医療としては認められてはいませんが、治療として昔からの施術を受けた方の様子などを元に効能などをお伝えしてきました。
今回の東京大学医科学研究所の発表は、お腹を温めるのはなぜ身体にいいの?という問いに対して化学的な根拠がお伝えできる良い情報かと考えており、身体を温めることへの信頼になるのではないかとも思っていますので、この記事で取り上げさせてもらいました。
こんな人には腸温活がお勧め
- 便秘もしくは便が硬くて痛い
- 厚着をしても身体が冷える
- 腰が痛い、疲れる、お腹が硬いと言われる
- お腹が張っている、下腹ぽっこり
症状よっては腸温活だけでは解決しない場合もありますが、それでも身体にとって良いことは確かですので上記のような悩みをお持ちの方は、ぜひお試しいただければと思います。(紹介する実践方法によって副作用は無いのでぜひ試してみてください。)
腸温活がもたらす嬉しい効果
●便通の改善
腸内環境を整える為に食物繊維の豊富な食事をすることで便通や便の硬さが改善します。
●基礎体温の向上
食事が整うと腸の蠕動(ぜんどう)運動が活発になります。
腸も筋肉なので動くと温度が上がり、深部体温の上昇=基礎体温の向上に繋がります。
●腰痛や腰の疲れの軽減
腸の健康状態は胸椎下部の柔軟性と繋がっているので、腸内環境が悪い方は腰痛も併発しているケースも多いです。
直腸(肛門の手前)で便が停滞していても真後ろに位置する腰部や仙骨の動きが悪くなったり、下腹部の違和感の原因になるので腸と腰の関係は強いと言えます。
●ウエスト痩せ
腸が温かいとお腹(内臓、筋肉含め)が動きやすくなるので、肋骨骨盤間の腹筋やお腹骨盤周りのインナーマッスルが使える状態になります。
骨盤の角度や姿勢が変化すると下腹が引きあげられてウエストが細くなりやすいです。
自宅でできる腸温活方法
上記のように、内臓は簡単に損傷しないように脂肪や筋肉で守られ身体の奥に位置しているので、直接温めるのは難しい場所です。
腸が冷えていて基礎体温が低いという方は普段から冷やさない工夫も必要になってきます。
身体を温める食材選びも大切ですが、食べ物・飲み物は冷たいものを避け、なるべく温かい状態にしてから取り入れる。
まずはその意識をして、それが出来たら積極的に食物繊維を摂るようにしましょう。
食物繊維を摂る腸温活
腸も私達の身体の外側と同じく筋肉なのですが、身体の外側は自分の意志で動かせる随意筋(ずいいきん)であるのに対して、腸は不随意筋(ふずいいきん)といって自分の意志で動かすことは出来ず、自律神経に支配されています。
逆を言えば腸が忙しかったり、腸内環境の乱れが自律神経に作用してしまうということなので、食生活が荒れていたり寝る直前にジャンクフードを食べると、翌朝の目覚めの悪さや日中の寝不足感に繋がります。
そのため、腸のぜん動運動(食べ物を押し出していく働き)を活発にしてくれる食物繊維を含んだ、自然の食材で腸を動かしていく事が大切です。
食物繊維が豊富な食材は、
- 大豆や小豆の豆類
- さつまいもやジャガイモのイモ類
- ゴボウなど根菜類
があります。
どれも自然と噛む回数が増えるので、脳を刺激して空腹感を満たす効果もありダイエットにもおすすめです。
夜の食事量が多い、ジャンクフードを食べてしまう方はこれらの食材を夕食に取り入れると、食べた感もあり翌日の便通も改善してくれます。
お腹ほぐし
腸もみや腸マッサージを聞いたことはあるでしょうか。
腸を直接押すだけでなく、その周りの筋肉をゆるめることで内臓の働きに良い影響があり呼吸も深くなるので対象の筋肉とセルフエクササイズを紹介します。
まずは胃の上に位置する横隔膜です。
ここが硬くなると呼吸が浅い、自律神経のリズムが乱れるといった事に繋がります。
そうなるとお腹も硬くなり腸の動きも阻害してしまうのでほぐしていきましょう。
1.みぞおちから外に向け、肋骨の縁にそって優しく下から押します。
2.次は大腰筋といって腸の後ろにみぞおちの奥深くから脚の付け根まで繋がっている筋肉です。
ここが硬くなると骨盤の動きが悪くなり、日常の動作において動きづらさが出てきます。
例えばたくさん歩いた日は膝腰が痛い、ふとももばかりが疲れてくるといった方は念入りにほぐしましょう。
骨盤が動くようになると、日常動作のなかでもお腹がよく動くようになるので腸の動きも促進します。
イメージは脇腹から背骨に向かって、斜め方向に腸を避けるように触るようにします。
家にボールがあれば、その上にお腹(肋骨が当たらないように)をのせて深呼吸をするのも効果的です。
ボールのサイズや硬さによって、体重の乗せ方は調整していきましょう。
普段行っているエクササイズやストレッチがあれば、先に上記のお腹ほぐしをすると体幹部分が動きやすくなるのでオススメです。
腸温活に海水温熱がお勧め
海水温熱療法でお腹を温める時には内側に向けて熱を入れていきます。温熱士の手で熱の入り方を感じながら、ゆっくりと圧をかけて行うので腸へのアプローチもしやすくなります。
もちろんお腹だけでなく、背中側からも熱を入れるのですが背骨には自律神経が通っています。背中を温めるということは自律神経の流れを安定させ、自律神経にコントロールされている腸の働きも整える効果があるのです。自宅での温活に海水温熱をプラスすれば、腸温活はさらに上手くいくはずなので是非一度お試しください。